私は今まではどちらかというと二次創作には興味がないほうで、どんなに好きな作品でも、それを原作とするファンアート自体は、原作とは無関係なものと思っていたんですね。ところが、忍殺に関しては公式がむしろ二次創作を積極的に推奨しているようなところがあって、それを受けて、私もこの作品に関しては原作小説、公式のコミカライズ・アニメ化のみならず、ヘッズの実況・考察ツイートや感想ブログ、そして二次創作マンガ・小説・音楽等を含めたムーブメント(もっと正確に言えばミーム=情報遺伝子の継承)こそが、ニンジャスレイヤー作品の総体なのではないかという考えに至りました。
まあ、そこまで深く考えるまでもなく、単純に自分と同じ重篤なファンの方々が、ニンジャスレイヤーという底知れないスケールの作品を読んで、そのエッセンスをどう表現するかというのに興味があります。なので、それら二次創作作品についての感想を書き残しておくというのもまた、きっと何かしらの意味はあるよねってことで。あとは加えて、ごく個人的な備忘録という意味合いもあります。
そんなわけで、これから何回かに渡って、私が過去に購入したニンジャスレイヤー二次創作本の簡単な内容紹介と、感想を書いてみようと思います。タイトルの凡例は、『誌名』(サークル)、主な著者 / 購入場所…というような感じ。それに、分かる範囲でサークルさんのサイトへのリンクと、写真で表紙の紹介をします。基本、誌名などは奥付を見て手動で入力していますので、表記ミス等あればご指摘ください。
またこれから紹介するすべての作品に言えることですが、創作活動って本当にエネルギーを要することで、普通は日々いろんなことを犠牲にしないと成り立たないと思うんですよね。なので、それらの結晶たる作品たちに対しては、ボンモーや翻訳チームに対するのと同じくらいの深いリスペクトを持っています、ということが拙い文章を通じて最低限伝わればいいなと。絵が上手いからとか好みだからとかそういうことじゃなくて、込められたカラテに対して平等にソンケイを。
※あと「○○=サン」は敢えてふつうに「さん」と表記します。
いま手元にトータルで20作品くらいあって、全部は大変かもしれないけど、出来る限りはピックアップしてみます。その際の順番はバラバラで、発表された時期や購入した時期が前後することがままあるかと思います。それらに特段の意図はありませんので、あしからず。
『ニンジャ文化祭記念アンソロジー』(イカジャーキープレス社)
しまださん主宰合同本 / COMIC ZIN新宿店
2013年4月に秋葉原で開催された『ニンジャ文化祭』合わせのアンソロジー。実はこのとき私は既にニンジャヘッズだったのですが、イベントには行けなくて、後日委託が始まってからZINに買いに行きました。確かこれが初めて買ったニンジャ二次創作同人誌です。ちなみに、ZIN新宿店さんはすごくて、さほど広い店舗面積でないにもかかわらず、ニンジャ同人誌を集めた一角が常設であるんですよ!
さて本作は、総勢30名以上の作家さんが参加された、小説・イラスト・マンガなんでもありの合同本で、初見でそのあまりの熱量に圧倒されたのを覚えています。しかも結構みんな書籍挿絵のイメージから自由な独自デザインだったり、当時まだ書籍化されていない2部、3部のキャラだったりというのを、がっちり特徴を掴んで表現していて。なんかこう、一見バラバラなんだけど不思議と根っこは繋がっているという、ニンジャの二次創作とはなるほどこういうことかと。ネタの方向性としては、キャラクターの魅力を生かしたシチュエーションものの作品が多いです。原作3部まで追いついたヘッズにはぜひ紹介したい1冊。
『ネオサイタマ駐屯組のなんか(冬)』(OEPPU)
沖ノ島げろり庵さん / ニンジャ万博
げろり庵さんの作風は好きで何作か買わせてもらいました。まずネオサイタマ駐屯組という括りが当時自分のなかになくて、新鮮だった記憶が。つまりは2部のザイバツに属するニンジャのうち、ワイルドハント以下ネオサイタマに駐留しているニンジャたちのお話です。改めて考えると、彼らそれぞれキャラが強烈に立っていてバランスがいいんですね。
原作小説では深く掘り下げられていないニンジャたち(ニンジャスレイヤーが殺してしまったので)のコミュニケーションが生き生きと描かれています。登場するニンジャはほぼオリジナルのデザインにもかかわらず、ひと目でそれとわかるのがすごい。ダークドメインの圧倒的な強さについて噂する駐屯組の面々がなんだかゆるくてカワイイです。それでいて、ダークドメイン登場シーンは一貫してシリアスでカッコイイ。あとイグナイトのやんちゃぶりに対して、不遇なプリンセプスのシーンは笑いました。ローマ帝国…。
『ニンジャごはん』(TWO-PAGE)
ゆんぺすさん、ほか合同本 / 2014年冬コミ
ニンジャとグルメを題材にした合同本。ありえないメンツが手狭な食卓で鍋を囲んでいる表紙絵とタイトルからしてキャッチーで、告知を見た時点でガッチリ掴まれてしまいました。ゆんぺすさんの絵柄はポップで洗練されていてかわいい!冒頭のブラックヘイズとフェイタルの日常生活の話が最高で、ほんとにこんな感じであってほしいなあという。イグナイトとインペイルメントのおつかいもカワイイ。
ほかにも、やかんさんのちょっと応援したくなるOL風ストーカーとか、今井にゅうさんの半泣きで山盛りいくら丼をかっこむエーリアスとか、見どころたくさんの本です。それとつい何度も読み返してしまうのが、うさぎ小天狗さんのユカノのズボラ飯風日記。本編では常に超然としてあまり本心を明かすことのないユカノ(だからいまひとつ人気がないのかな?)なだけに、ものすごくフランクな語り口調に好感が持てます。オチも好き!