コミティア110でした

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昨日23日日曜日は、恒例のコミティアでした。当サークル「鏡像フーガ」は、今年もどうにか4回連続のサークル参加というお勤めを果たし、このサークル名では2年目の年を終えた形です。ブースに来て本を手に取っていただいた皆さま、どうもありがとうございます。

今回はコミティア通算110回目にして30周年記念の拡大開催ということで、新刊がないという事態はどうしても避けたくて、例によって無茶なスケジュールのなか頑張りました。それでなのか、当日は他のサークルさんも気合いの入った本が多くて、たいへん刺激になりました。ゆっくり見て回りたい気持ちはあるものの、作家として参加しているとなかなかブースを離れるわけにもいかず。お客さんに本を手渡しできる瞬間が楽しくて、作品作りをしているわけですからね。

そんな中すごく嬉しかったのは、ブースで隣り合った作家さんが、数年来のファンで既刊もほぼすべて買っているサークル「雲形発着場」の梅木先生で、いろいろとお話ができたこと。今はCOMICリュウで『あせびと空世界の冒険者』を連載されているのは知っていたものの、恥ずかしながら9月に単行本化されたのを知らなくて、慌てて出張ジュンク堂ブースで買ってきてサインしてもらっちゃいました。梅木先生は初期作品から実力がずば抜けていて、絶対プロになると思っていたので、他人事ながらすっごく嬉しい。『あせび~』は人気だそうで早くも来月2巻が出るそうです。

それから、ニンジャスレイヤーのコミカライズ作品のうちのひとつ『グラマラス・キラーズ』を連載されているさおとめあげは先生も、今回はオリジナル創作でサークル出展されていて、本も買えたしグラキラの感想も伝えることができました。改めて、即売会は作家との距離が近いのがいいなと思いました。

そのほか、いつもお付き合いいただいている作家さんに挨拶できたり、タイミング悪くお会いできずということもあったけれど、そのあたりはいつもながらのコミティアで。毎回ありがとうございます。

今回作った本は『未完のアルマンド』という短編でした。肩肘張らない、ゆるい感じの会話劇を久しぶりにやってみたくて、以前『半音階的ファンタジア』という作品のなかでやりかけてさっぱり上手く描けなかったメタフィクション的な題材を引っぱり出してきました。描いてて、なんだかこういうのだったらいくらでも描けそうなことが分かったので、珍しくはやく続きを描きたいなというモードになっています(こういうのは、すぐ動かないと冷めてしまいがちなのですが)。

ちなみに、個人的に2014年はフルデジタル制作環境移行元年ともいえる年で、発行した4作のコピー誌はすべてCLIP STUDIO PAINT PROで制作しました。ようやく、だんだんと使いかたが分かって楽しくなってきたところ。

コミティア終了後は、izさんの車で送ってもらいつつ、watさんフミアキさんと合流して、思いがけずBody Informフルメンバーで焼肉打ち上げ。はー、本当にお疲れさまでした。

コミティア109でした

こちらでは告知していませんでしたが、去る日曜日、サークル「鏡像フーガ」でコミティアに参加しました。今年は毎回ペースで出ています。あまり動けなかったにもかかわらず、先輩後輩や友人の作家さん、音楽関係の友達までブースにいろんな方が来てくださって嬉しかったです。本を買っていただいた方、どうもありがとうございます。

『再帰機関のレヴェナント』と題する14ページの読み切りを制作しました。1週間で構想をまとめて、続く1週間でネーム・下描き・ペン入れという、いつもながらの強行軍でした。拙いながらも、前作よりも密度のある画面にしたかったので、そこだけは達成できたかな(前作は、改めて読み直したらスカスカで愕然としました)。

メカと怪獣が戦う話を一度やってみたくて、それなら少年パイロットが乗り込むまでの一連のシーケンスもやってみたいし、ファンタジーの要素も入れたいしみたいに欲張っていたら、中学生のころ作ってたみたいな設定メモができあがりまして。結局、いろんな要素を削いでいくと、やりたいことは大して変わらないんだなみたいな。
ただ、そういう自分のなかの「恥ずかしさ」みたいなものに臆面もなく向き合えるようになったのは、『パシフィック・リム』とか『ニンジャスレイヤー』とか、あるいは『キルラキル』のような、欲望に正直な作品と出会ったおかげです。去年このあたりの作品に触れていなかったら、完全に描きたいものを見失っていたかも。

それはともかく、基礎的な部分で漫画上手くなりたいのでもっと頑張ります。

当日は、前回買いそびれた『コミティア30thクロニクル』の第2集が買えて良かったです。カタログの完売も今回は13時前とだいぶ早かったですね。コミケのあとだからかなんなのか、新刊のないサークルも多く、注目している作家さんが軒並み既刊のみやペーパーだったりなんかして。
そのなかで、仙台のフナヤマヤスアキさんとhiva+さんによる合同誌『サマーシロップ』が光っていました。お2人のまったく異なる作風を逆手にとって、時間の隔たりに置き換えてしまうことで、ビターな青春ものとハイテンションなコメディが違和感なく同居している作品でした。なかなかこういう本はないですよ。最高におもしろかったです。

コミティア後は、ブースも手伝っていただいたizさんの車で、初めて三茶の「じゃじゃおいけん」へ。特徴的な盛岡じゃじゃ麺は、わりとさっぱりとヘルシーな感じで美味しかった。このお店はまた行きたい。

次回コミティアは11月です。次はなに描こうかな。

コミティア108でした

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こちらのブログではろくに告知もできませんでしたが、5月5日はコミティアに鏡像フーガでサークル参加してきました。例によってギリギリまで原稿をやっていて、連休らしいことは一切なく…例年この時期に参加しているクラシック音楽祭「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」にも今年は行かず、せっせと漫画描いてました。

新刊は「ソノコ」で16ページ。行きがかり上、2月の本の続きを描かなければならず、なんとか最低限描きたかった要素は詰め込んだのですが、ともかく手に取っていただいた皆さまどうもありがとうございます。

CLIP STUDIOを使ったデジタル作画にも少しずつ慣れてきて、回を重ねるごとに、あれこれと小手先のワザを覚えるという、学習の段階としてはちょうど楽しくなってきたところです。今回は、いい感じの下書き用のペンが自作できたのと、フキダシペンの使いかたを覚えたのが大きかった。作業時間が大幅に短縮されて、これ紙に描いてたら絶対この期間に間に合わなかったなぁと思います。
読み返してみて、まだまだ未熟だけれども、それでも前回よりは手ごたえがありました。この感じを忘れないうちに次を描きたい。いま漫画に関してはここ数年で一番やる気あります。まあ、あってもなくてもコミティアは最優先事項なので毎回出るんですが。

それと今回は、友人のizさんとぽてきちさんにブースを手伝ってもらえて、嬉しかったです。他所のサークルに挨拶に行ったりできるのもそうなんだけど、それよりも、自分の作品を前にして何時間も衆目に晒されるという緊張感が紛れるというのが助かります。それに、音楽関係で知り合った友達に昔馴染みのコミティアを紹介できたのが嬉しかったし、それぞれに楽しんでいただけたみたいで。長丁場お疲れさまでした。

買えた本もあり買えなかった本もあり、じっくりお話できた作家さんもいれば、タイミング合わずご挨拶しそびれた作家さんには毎度不義理をしてしまいました。でも、おおむね良い感じの回でした。やっぱ即売会…というかコミティアがあるからこそ私は漫画続けられてるんだな。

16時の終了後はizさんの車で送ってもらって、エージさんwatさんと別れたあとさんごさんが合流してみんなでシズラーへ。がっつり食べました。

あそうだ、今回のコピー本制作にあたって、いつものキンコーズでちょっと驚いたことがあったので、それはまた別の記事にまとめようと思います。

コミティア107 ありがとうございました

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鏡像フーガの本を手に取っていただいた皆さま、どうもありがとうございました。例によって単独参加のため、ほとんど動けなかったのですが、本当に色々な方が来てくださって。

実は、改めて確認してみて分かったのですが、私が初めてサークル参加したコミティアが、2004年2月22日の「COMITIA 67」でした。なので、今回でちょうど丸10年。10年!早いものです…。

多少は進歩があるといいのですが、当人としてはさっぱり。別段、何を目指しているとかもなくて、仕事との折り合いもついているので、その時描きたいものを描いてきました(描きたいものが何か分からないこともしょっちゅうだけれど)。しかし作品が誰にも、誰の手にも取ってもらえなかったとしたら、とてもここまで続けては来れなかったと思います。

ところで昨日、会場でティアズマガジンを読んでいて、前回のコミティアでの売り上げ分布グラフを何気なくTwitterにアップしたら、2800RTもされてびっくり。グラフは毎回実施されているサークルアンケートに基づくもので、ご覧のとおり横軸を売上冊数、縦軸をサークル数としていて、最も多いのが1~4冊で132サークルという。次に多いのが5~9冊、0冊のところも少なくなくて、逆に1000冊以上売っているサークルはゼロです。そして、このグラフは前回が異常に売れなかったのではなくて、コミティアはだいたい毎回こんな傾向です。

確かに、私も初めてティアズマガジンでこのグラフを見たときは意外でした。そのときは、うちのサークルの本が売れないというのは知っていたけど、みんなそうなのかと。コミケとかでの、二次創作同人誌に関するちょっとバブリーな話なんかを聞いていると、より意外に思うのかも。

コミティアって作家のレベルも高いんだけど、読み手のレベルも高い。つまり、100円200円安いから買うというのはまずなくて、内容が良くなければタダでも立ち読みで終わる。無論、作家にとっては100円のコピー本だとしても心血を注いだ作品は値段なんかつけられないほどの価値があるわけで、それが手にとってさえもらえないというのは、これほど残酷な環境はないわけです。批判されるならまだしも、無関心無反応というのは、これは辛いですよ。

そういうなかで10年単位で続けて来られるのって、やはり、回数は多くなくても、直接作品が人の手に渡る瞬間に立ち会える喜びがあるからだと思うのです。少なくとも私はそうで、そりゃあ、どこが気に入ったのかとか聞いてみたいことはいっぱいあるけれど、特に何もなく「ありがとうございます」で本が渡せるだけでいい。たまには感想ももらえたりして、知り合いの作家さんなんかも増えてきたりして。でもそれって、もう数そのものはあんまり関係ない。ゼロが続くのでなければね。

そんなわけで、私はまたいくつか嬉しいことがあったので、次からも続けていけそうです。既刊を全部買ってくださったり、内容を褒めてくださった方ありがとうございます。それにスケブ頼んでくださった方、断ってしまってすみません(あまりアドリブに対応できないのです)。

今回の本の内容については、また後日ちょこちょことココで補足するつもり。引き続き、鏡像フーガをよろしくお願いいたします。

COMITIA 105 ありがとうございました

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無事に終わりました。鏡像フーガの本を手にとっていただいた皆さま、どうもありがとうございます。制作は大変でも、終わってみれば即売会はいいものですね。

このサークルサイトでは、続けて本作品のフォローのようなことをちょこちょこ書くかもしれません。慣れない表現があって悪戦苦闘しましたが、続きモノのていで描いてしまったので、また次回でがんばります。

売れ行きがどうも芳しくなく、正直なところ少し落ち込みました。なんでしょうね、この、売ること自体は目的でもなんでもないのですが、いろんな人の手に渡ってほしかったので、人に届くことのなかった在庫というのは、作品としての目的を完遂していないんじゃないかと。誰かが見て、初めて作品だからね。

あと、単独参加は慣れっことはいえブース内ではすこし手持ち無沙汰になりますね。本を買いに行ったり、作家さんに声をかけに行ったりということも、あまりできないし。次回以降、売り子を誰かにお願いすることも考えてみようかなあ。あと、寝不足でへろへろだったのですが、せっかくの機会なので打ち上げもしたかった。

ちょっと嬉しかったのは、既刊本3種を含めてまとめ買いしてくださる方が何人かいたことです。なかでも、11年前からコミティアに来ているという方が初めて私の本を見つけて気に入ってくださったらしく、感激。また別の方は、以前のサークル「B2B」から参加名が変わって追えなくなっていたとのことで、絵で気づいて見つけてくれたというのもうれしかった。

14時過ぎに、駆け足でよそのブースを回って、ファンの作家さんの本を買いに行ったり(といっても今回「雲形発着場」さんや「みみナリ」さんなど新刊のないサークルさんも多かったのですが)、あと初めましての方に挨拶したりとか。

特に、DJ界隈では10年来ニアミス続きだった、パリッコさんとイオさんにご挨拶できたのがうれしかったです。彼らは今回、代表作である『クラブDJストーム』の待望の初単行本を引っさげてのコミティア参加で、それも込みでうれしい。テクノDJの必読マンガですよ、これは。
それから、以前pixivで知って気になっていた仙台の作家さんたちの本も買いに行って、少しお話しさせてもらいました。これがどの本もまた案の定すばらしい作品で、追って感想を記事にまとめたいと思います。

いずれも、厚かましくも自分の本を差し上げてしまったのですが、そうでもないと作家同士の交流のきっかけってないと思うんですよね。普通に立ち読みして気に入って買うだけじゃ、一般参加なのかサークル参加なのか分からないし。自分の場合、もし作家で参加していて自分の本を買ってくれるのなら、その人がどういう作品を描いてるのかすごく知りたい。振り返って、いま仲良くしていただいているサークルさんも、向こうから教えてくれた方が多いので、逆に自分からも言っていこうと。それがかえって多少失礼だったとしても、きっかけは多いほうが楽しい…はず。

ともあれ、まずはなんとか終わってほっとしています。次回の106、どうしようかな。スケジュールがタイトなので、はじめから新刊を用意することは考えずに、既刊ばかりを再度持ち込む形にするかもしれません。やっぱ即売会というか、コミティア楽しいし。

COMITIA 103 ありがとうございました

当日本を手に取っていただいた皆さま、ありがとうございました。なんとか無事に終えることができました。前回、前々回のブランクを経て、新しいサークルでの参加ということで、いざ即売会となると身が引き締まる思いもありましたが、終わってみればいつも通りで。

新刊は『ラドリンカの尾』という読み切りを描きました。とあるスラム街を舞台に、尻尾の生えた女の子とそれを取り巻く人々のお話です。表題の人名だけ、フィリップ・クーテフのブルガリアン・ヴォイスの2に収録されている”Besrodna Nevesta”という歌から借りました。

サークル名を新たに、同人活動を出直すにあたり、自分はこれからどういう作品を描いていきたいのか、という点を改めて考えてみました。普段は一切読まない、昔作った本を全部読み返してみたり。そうすると、絵も内容もすごく稚拙だったり、逆に進歩のなさに途方にくれたりするわけですが、唯一、昔のほうが丁寧に作品に向き合っているんですよね。ヘタだけど、ヘタなりに頑張ってるなぁというか。

同人活動に関して言うと、私は挫折ばかりで、よく今まで足かけ9年(前身サークルでのコミケ参加も含めると11年)もマンガ描いてるなと思います。本当に、やめられるならやめたい。でも、自分のなかの何かがそれを許さないのです。かといって創作のアイデアが溢れ出てくるわけでなし、空っぽの井戸から水滴をすくい集めるみたいなことを、毎回毎回やってます。この苦行はどこまで続くんだろうと思います。

たまたま、原稿が上がったその日にウェブを巡回していたら、ある書評ブログで、『いまファンタジーにできること』という本に関連して書かれた、気になる一節を見つけました。

ファンタジーと未熟さをごっちゃにするのは、かなり大きな間違いだ。合理的だが、頭でっかちではなく、倫理的だが、あからさまではなく、寓意的というよりは象徴的――ファンタジーは原始的(プリミティブ)なのではなく、根源的(プライマリー)なのだ。
『いまファンタジーにできること』:紙魚:So-netブログ

私は、11年前に初めて描いたマンガもファンタジーだったし、遡って高校時代に文芸部で書いていた小説も全部ファンタジーだった。結局、ファンタジーが描きたいのです。それも判で押したような剣と魔法の冒険譚「ではなく」、現実で起こりうること以外の全てを網羅した、自分という人間の想像力の地平としてのファンタジー。それって必ず、知識や思想や美的感覚や、あらゆる点において自分自身を鏡映しにしたような、ウソのない作品になると思うんです。そういう作品を残したいというのは、なんというか理屈ではなく、子孫を残すような本能的な欲求なのかもと思います。

とはいえ、あらゆる表現がそうであるように、文法やルールへの深い理解があってこその作品作りなので、その意味でなるべく質の高いものが残せるよう、勉強していきたいと思います。今後もサークル「鏡像フーガ」、よろしければお付き合いください。

次回の「コミティア104」は、4月末の「M3-2013春」参加のためひとつスキップして、8月のコミティアに参加予定です。