コミティア107 ありがとうございました

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鏡像フーガの本を手に取っていただいた皆さま、どうもありがとうございました。例によって単独参加のため、ほとんど動けなかったのですが、本当に色々な方が来てくださって。

実は、改めて確認してみて分かったのですが、私が初めてサークル参加したコミティアが、2004年2月22日の「COMITIA 67」でした。なので、今回でちょうど丸10年。10年!早いものです…。

多少は進歩があるといいのですが、当人としてはさっぱり。別段、何を目指しているとかもなくて、仕事との折り合いもついているので、その時描きたいものを描いてきました(描きたいものが何か分からないこともしょっちゅうだけれど)。しかし作品が誰にも、誰の手にも取ってもらえなかったとしたら、とてもここまで続けては来れなかったと思います。

ところで昨日、会場でティアズマガジンを読んでいて、前回のコミティアでの売り上げ分布グラフを何気なくTwitterにアップしたら、2800RTもされてびっくり。グラフは毎回実施されているサークルアンケートに基づくもので、ご覧のとおり横軸を売上冊数、縦軸をサークル数としていて、最も多いのが1~4冊で132サークルという。次に多いのが5~9冊、0冊のところも少なくなくて、逆に1000冊以上売っているサークルはゼロです。そして、このグラフは前回が異常に売れなかったのではなくて、コミティアはだいたい毎回こんな傾向です。

確かに、私も初めてティアズマガジンでこのグラフを見たときは意外でした。そのときは、うちのサークルの本が売れないというのは知っていたけど、みんなそうなのかと。コミケとかでの、二次創作同人誌に関するちょっとバブリーな話なんかを聞いていると、より意外に思うのかも。

コミティアって作家のレベルも高いんだけど、読み手のレベルも高い。つまり、100円200円安いから買うというのはまずなくて、内容が良くなければタダでも立ち読みで終わる。無論、作家にとっては100円のコピー本だとしても心血を注いだ作品は値段なんかつけられないほどの価値があるわけで、それが手にとってさえもらえないというのは、これほど残酷な環境はないわけです。批判されるならまだしも、無関心無反応というのは、これは辛いですよ。

そういうなかで10年単位で続けて来られるのって、やはり、回数は多くなくても、直接作品が人の手に渡る瞬間に立ち会える喜びがあるからだと思うのです。少なくとも私はそうで、そりゃあ、どこが気に入ったのかとか聞いてみたいことはいっぱいあるけれど、特に何もなく「ありがとうございます」で本が渡せるだけでいい。たまには感想ももらえたりして、知り合いの作家さんなんかも増えてきたりして。でもそれって、もう数そのものはあんまり関係ない。ゼロが続くのでなければね。

そんなわけで、私はまたいくつか嬉しいことがあったので、次からも続けていけそうです。既刊を全部買ってくださったり、内容を褒めてくださった方ありがとうございます。それにスケブ頼んでくださった方、断ってしまってすみません(あまりアドリブに対応できないのです)。

今回の本の内容については、また後日ちょこちょことココで補足するつもり。引き続き、鏡像フーガをよろしくお願いいたします。

COMITIA 105 ありがとうございました

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無事に終わりました。鏡像フーガの本を手にとっていただいた皆さま、どうもありがとうございます。制作は大変でも、終わってみれば即売会はいいものですね。

このサークルサイトでは、続けて本作品のフォローのようなことをちょこちょこ書くかもしれません。慣れない表現があって悪戦苦闘しましたが、続きモノのていで描いてしまったので、また次回でがんばります。

売れ行きがどうも芳しくなく、正直なところ少し落ち込みました。なんでしょうね、この、売ること自体は目的でもなんでもないのですが、いろんな人の手に渡ってほしかったので、人に届くことのなかった在庫というのは、作品としての目的を完遂していないんじゃないかと。誰かが見て、初めて作品だからね。

あと、単独参加は慣れっことはいえブース内ではすこし手持ち無沙汰になりますね。本を買いに行ったり、作家さんに声をかけに行ったりということも、あまりできないし。次回以降、売り子を誰かにお願いすることも考えてみようかなあ。あと、寝不足でへろへろだったのですが、せっかくの機会なので打ち上げもしたかった。

ちょっと嬉しかったのは、既刊本3種を含めてまとめ買いしてくださる方が何人かいたことです。なかでも、11年前からコミティアに来ているという方が初めて私の本を見つけて気に入ってくださったらしく、感激。また別の方は、以前のサークル「B2B」から参加名が変わって追えなくなっていたとのことで、絵で気づいて見つけてくれたというのもうれしかった。

14時過ぎに、駆け足でよそのブースを回って、ファンの作家さんの本を買いに行ったり(といっても今回「雲形発着場」さんや「みみナリ」さんなど新刊のないサークルさんも多かったのですが)、あと初めましての方に挨拶したりとか。

特に、DJ界隈では10年来ニアミス続きだった、パリッコさんとイオさんにご挨拶できたのがうれしかったです。彼らは今回、代表作である『クラブDJストーム』の待望の初単行本を引っさげてのコミティア参加で、それも込みでうれしい。テクノDJの必読マンガですよ、これは。
それから、以前pixivで知って気になっていた仙台の作家さんたちの本も買いに行って、少しお話しさせてもらいました。これがどの本もまた案の定すばらしい作品で、追って感想を記事にまとめたいと思います。

いずれも、厚かましくも自分の本を差し上げてしまったのですが、そうでもないと作家同士の交流のきっかけってないと思うんですよね。普通に立ち読みして気に入って買うだけじゃ、一般参加なのかサークル参加なのか分からないし。自分の場合、もし作家で参加していて自分の本を買ってくれるのなら、その人がどういう作品を描いてるのかすごく知りたい。振り返って、いま仲良くしていただいているサークルさんも、向こうから教えてくれた方が多いので、逆に自分からも言っていこうと。それがかえって多少失礼だったとしても、きっかけは多いほうが楽しい…はず。

ともあれ、まずはなんとか終わってほっとしています。次回の106、どうしようかな。スケジュールがタイトなので、はじめから新刊を用意することは考えずに、既刊ばかりを再度持ち込む形にするかもしれません。やっぱ即売会というか、コミティア楽しいし。

COMITIA 103 ありがとうございました

当日本を手に取っていただいた皆さま、ありがとうございました。なんとか無事に終えることができました。前回、前々回のブランクを経て、新しいサークルでの参加ということで、いざ即売会となると身が引き締まる思いもありましたが、終わってみればいつも通りで。

新刊は『ラドリンカの尾』という読み切りを描きました。とあるスラム街を舞台に、尻尾の生えた女の子とそれを取り巻く人々のお話です。表題の人名だけ、フィリップ・クーテフのブルガリアン・ヴォイスの2に収録されている”Besrodna Nevesta”という歌から借りました。

サークル名を新たに、同人活動を出直すにあたり、自分はこれからどういう作品を描いていきたいのか、という点を改めて考えてみました。普段は一切読まない、昔作った本を全部読み返してみたり。そうすると、絵も内容もすごく稚拙だったり、逆に進歩のなさに途方にくれたりするわけですが、唯一、昔のほうが丁寧に作品に向き合っているんですよね。ヘタだけど、ヘタなりに頑張ってるなぁというか。

同人活動に関して言うと、私は挫折ばかりで、よく今まで足かけ9年(前身サークルでのコミケ参加も含めると11年)もマンガ描いてるなと思います。本当に、やめられるならやめたい。でも、自分のなかの何かがそれを許さないのです。かといって創作のアイデアが溢れ出てくるわけでなし、空っぽの井戸から水滴をすくい集めるみたいなことを、毎回毎回やってます。この苦行はどこまで続くんだろうと思います。

たまたま、原稿が上がったその日にウェブを巡回していたら、ある書評ブログで、『いまファンタジーにできること』という本に関連して書かれた、気になる一節を見つけました。

ファンタジーと未熟さをごっちゃにするのは、かなり大きな間違いだ。合理的だが、頭でっかちではなく、倫理的だが、あからさまではなく、寓意的というよりは象徴的――ファンタジーは原始的(プリミティブ)なのではなく、根源的(プライマリー)なのだ。
『いまファンタジーにできること』:紙魚:So-netブログ

私は、11年前に初めて描いたマンガもファンタジーだったし、遡って高校時代に文芸部で書いていた小説も全部ファンタジーだった。結局、ファンタジーが描きたいのです。それも判で押したような剣と魔法の冒険譚「ではなく」、現実で起こりうること以外の全てを網羅した、自分という人間の想像力の地平としてのファンタジー。それって必ず、知識や思想や美的感覚や、あらゆる点において自分自身を鏡映しにしたような、ウソのない作品になると思うんです。そういう作品を残したいというのは、なんというか理屈ではなく、子孫を残すような本能的な欲求なのかもと思います。

とはいえ、あらゆる表現がそうであるように、文法やルールへの深い理解があってこその作品作りなので、その意味でなるべく質の高いものが残せるよう、勉強していきたいと思います。今後もサークル「鏡像フーガ」、よろしければお付き合いください。

次回の「コミティア104」は、4月末の「M3-2013春」参加のためひとつスキップして、8月のコミティアに参加予定です。

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